Small "Sob" Stories about My English     Hamamatsu English School
 
英語と出会って半世紀。 神保昌幸の「英語と私、ちょっと切ない話」… 
 
   
     

二歳からずっと…

> 派生名詞 / 前置詞 / 受身形 / 動詞 / 限定詞 /

言葉の配列には、決まりごとがある。英語の場合、そのひとつが、「派生名詞の意味上の主語は、派生名詞句内の他の要素に影響を与えない場合、 by 前置詞句で表すことはできない」という制約だ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「ある辞書による、つまりある辞書が収録している、その言葉の定義」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        the definition of the term by a dictionary

上記の配列のままでは、本来の内容である「辞書が収録している…」とは異なり、「辞書によって定義されたその言葉の意味」といった不自然な内容になる。正しくは、次のように配列する。

l        the definition of the term in a dictionary

言葉の配列についての決まりごとは、その習得に際し、決まりごとの内容や、従事する言語活動において求められる技能などによって対応が異なる。

この制約では、思考や感情を汲み取ろうとして、読んだり、聞いたりするといったような場合、あるいは、それらを伝えようとして、書いたり、話したりするといったような場合、制約の背後にある規則性に目を向け、他の決まりごとと関連付けながら、表現の仕組みについて理解を深めていくことになる。

その「他の決まりごと」のひとつが、中学校で学ぶ「受身形」についての制約のひとつで、「能動文の述語が『前置詞+目的語』を含む場合、前置詞の目的語を受動文の主語にすることはできない」というものだ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、下記のようにすることはできない。

l        Aggie was given the book to.

上記の誤った配列のままでは、「(本が与えられた場にいたかどうか不明な)アギーは、(その場にいて)本をもらった」といった不自然な表現になる。正しくは、次のように配列する。

l        The book was given to Aggie.

この制約は、ひとつの意味単位となっている「動詞+目的語」には適用されないため、「リリーの子供は、二歳からずっと読み聞かせしてもらっている」という内容を表そうとして、下記のように配列することができる。

l        Lilly's child has been read stories to since he was two years old.

何がどうなっているのか、決まりごとの中には習得にひどく手古摺(てこず)るものがある。あれこれ工夫してみるが、途方に暮れることが珍しくなく…ちょっと切ない。

   
   
     
戻る