Small "Sob" Stories about My English     Hamamatsu English School
 
英語と出会って半世紀。 神保昌幸の「英語と私、ちょっと切ない話」… 
 
   
     

模倣されてきた…

> 命令文 / 副詞 / 否定文 / 助動詞 / 進行形 /

言葉の配列には、決まりごとがある。英語の場合、そのひとつが、「命令文で、場所や様態の副詞句を文頭に置くことはできない」という制約だ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「新潟では海の幸ならこちらの寿司屋にどうか立ち寄ってください」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        In Niigata, please drop in for fruits of the sea at this sushi bar.

上記の配列では、「新潟では海の幸ならこちらの寿司屋にどうか立ち寄ることがあるようになってください」といった不自然な内容になる。正しくは、次のように配列する。

l        Please drop in for fruits of the sea at this sushi bar in Niigata.

この制約は時を表す副詞句には適用されないため、「金曜日にはどうか老人ホームにいるお父さんを慰問してください」という内容を表そうとして、次のように配列することができる。

l        On Friday, please visit your father in the nursing home.

言葉の配列についての決まりごとは、その習得に際し、決まりごとの内容や、従事する言語活動において求められる技能などによって対応が異なる。

この制約では、思考や感情を汲み取ろうとして、読んだり、聞いたりするといったような場合、あるいは、それらを伝えようとして、書いたり、話したりするといったような場合、制約の背後にある規則性に目を向け、他の決まりごとと関連付けながら、表現の仕組みについて理解を深めていくことになる。

その「他の決まりごと」のひとつが、中学校で学ぶ「否定文」についての制約のひとつで、「助動詞の連続において not を進行相の being の後ろに置くと非文になる可能性が高くなる」というものだ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「この絵が模倣されてきたということはないに違いない」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        This picture must have been being not imitated.

上記の誤った配列のままでは、「この絵が模倣されてきたことはないといったようなことがあるに違いない」といった不自然な表現になる。正しくは、下記のように配列する。

l        This picture must have not been being imitated.

l        This picture must not have been being imitated.

何がどうなっているのか、決まりごとの中には習得にひどく手古摺(てこず)るものがある。あれこれ工夫してみるが、途方に暮れることが珍しくなく…ちょっと切ない。

   
   
     
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