Small "Sob" Stories about My English     Hamamatsu English School
 
英語と出会って半世紀。 神保昌幸の「英語と私、ちょっと切ない話」… 
 
   
     

生まれながらの…

> 副詞節 / 進行形 / 副詞 /

言葉の配列には、決まりごとがある。英語の場合、そのひとつが、「接続詞 unless は、例外としての条件を表していない場合、非文法的となる」という制約だ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「雨が降りそうでなければ、ピクニックなんだけどね」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        Unless it is going to rain, we'll have a picnic.

上記の配列では、「雨が降りそうでさえなければ、あとは何があってもピクニックなんだけどね」といった不自然な内容になる。正しくは、次のように配列する。

l        If it isn't going to rain, we'll have a picnic.

言葉の配列についての決まりごとは、その習得に際し、決まりごとの内容や、従事する言語活動において求められる技能などによって対応が異なる。

この制約では、思考や感情を汲み取ろうとして、読んだり、聞いたりするといったような場合、あるいは、それらを伝えようとして、書いたり、話したりするといったような場合、制約の背後にある規則性に目を向け、他の決まりごとと関連付けながら、表現の仕組みについて理解を深めていくことになる。

その「他の決まりごと」のひとつが、中学校で学ぶ「進行形」についての制約のひとつで、「提示構文の『場所表現の副詞( here, there など)+移動を表す動詞』では進行形を用いることはできない」というものだ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「リリーは、声を潜(ひそ)めて、『ほら、生まれながらの探偵さんのお通りよ』と言った」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        Lilly said quietly, "There is going a born detective."

上記の配列のままでは、「リリーは、声を潜(ひそ)めて、『まだお通りじゃないけど、ほら、生まれながらの探偵さんが、そこをお通りになっているわ』と言った」といった不自然な表現になる。正しくは、次のように配列する。

l        Lilly said quietly, "There goes a born detective."

何がどうなっているのか、決まりごとの中には習得にひどく手古摺(てこず)るものがある。あれこれ工夫してみるが、途方に暮れることが珍しくなく…ちょっと切ない。

   
   
     
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