Small "Sob" Stories about My English     Hamamatsu English School
 
英語と出会って半世紀。 神保昌幸の「英語と私、ちょっと切ない話」… 
 
   
     

ビーバーに…

> 前置詞 / 倒置 / 冠詞 / 受身形 / 名詞 /

言葉の配列には、決まりごとがある。英語の場合、そのひとつが、「場所を表す前置詞句が文頭にある倒置構文において、文末の名詞句は不定名詞句でなければならない」という制約だ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「あの古い花瓶は庭で見つかった」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        In the garden was found the old vase.

上記の誤った配列では、「あの例の古い花瓶というようなものが庭で見つかった」といった不自然な表現になる。正しくは、次のようにする。

l        The old vase was found in the garden.

また、「古い花瓶が庭で見つかった」という内容を表す場合は、次のように配列する。

l        In the garden was found an old vase.

言葉の配列についての決まりごとは、その習得に際し、決まりごとの内容や、従事する言語活動において求められる技能などによって対応が異なる。

この制約では、思考や感情を汲み取ろうとして、読んだり、聞いたりするといったような場合、あるいは、それらを伝えようとして、書いたり、話したりするといったような場合、制約の背後にある規則性に目を向け、他の決まりごとと関連付けながら、表現の仕組みについて理解を深めていくことになる。

その「他の決まりごと」のひとつが、中学校で学ぶ「受身形」についての制約のひとつで、「総称的性質を表す名詞句について、不定冠詞などによって総称性が表されている場合は、無冠詞の複数名詞、定冠詞の単数名詞の場合と異なり、受動文の動作主に生じることはできない」というものだ。

この制約に反することなく言葉を配列しようとすると、「ダムはビーバーによって作られている」という内容を表そうとして、下記のようにすることはできない。

l        Dams are built by a beaver.

l        Dams are built by any beaver.

上記の誤った配列では、「ダムはどのビーバーによってというわけではないが(現実に)作られている」といった不自然な表現になってしまう。正しくは、下記のように、無冠詞の複数名詞、あるいは定冠詞の単数名詞を配列して表現する。

l        Dams are built by beavers.

l        Dams are built by the beaver.

何がどうなっているのか、決まりごとの中には習得にひどく手古摺(てこず)るものがある。あれこれ工夫してみるが、途方に暮れることが珍しくなく…ちょっと切ない。

   
   
     
戻る